恋することを知った恋

あたしは上がった息を整えるため、大きく深呼吸した。

――っていうかなんでこんなに真剣になってんだろ。

あのピアスがプレゼントだったとしてもきっと彼女は喜ぶし、別にあたしが悪いことをしたわけじゃないし。

あたしがこんな真剣になることなんてない、どこの誰かもわからない他人のことなんだから――

「あのっ」

まさか。

声のした方に、あたしは振り返った。
< 24 / 400 >

この作品をシェア

pagetop