恋することを知った恋
優しさと呼吸
――この状況は、杏里にとってはかなり辛かった。
杏里の出ていったファミレスは、あたしと湧太先輩、そして黒瀬先輩と鈴乃さんを残して寂しそうに泣いた。
湧太先輩はただ黙っている。
黒瀬先輩は驚いた様子で、杏里の出ていったファミレスのドアを見つめていた。
周りのお客さんは何も知らず、ただ楽しそうにそれぞれの食事を楽しんでいる。
気まずい雰囲気が、流れる。
ごめんね杏里、うまく守れなかった。