恋することを知った恋

そして何度かあたしにわざとぶつかりながら、不満気に去っていった。

あたしは3人の姿が視界から完全に消えると、麻奈美の目を見て少し笑った。

そのときの麻奈美の表情は、しっかりと覚えている。

あたしの行動にとても驚いて、唖然としていた。

きっとこんなことをするような人に見えなかったんだろう。

麻奈美と違って黒髪だったし、ほぼノーメイクだったし。

でも麻奈美はそんなあたしをすぐに受け入れた。


「ありがと」


麻奈美はそう言って髪の毛をかきあげると、あたしの目を見て笑った。
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