恋することを知った恋
第6章
スマイルと独占欲
――あの子、杏里ちゃんだっけ。
「鈴乃ちゃん、これ頼んだよ~」
チッ。
あたしは心の中で大きく舌打ちをした。
「はーい、了解です」
気持ち悪い上司の言葉にはこうやって可愛く挨拶でもしてれば、ちょっとミスしても簡単に許してくれる。
あーあ、面倒くさい。
あたしはパソコンに文字を打ち込みながらも、新しく机に積み上げられた書類をキツく睨んだ。