恋することを知った恋

「おはよ」

あたしも挨拶を返して、自分の席に着いた。

「そういえば聞いて聞いて」

麻奈美が金髪の髪をかきあげて、あたしの席の近くに来た。

ほんのり香水の香りがして、あたしは顔を上げた。

「あたし、気になる人ができたんだよ!」

そう言った麻奈美の表情は、完全に乙女の表情だった。

あたしも麻奈美も彼氏ナシ、好きな人もナシだったから、そういう話を聞くのは久しぶりだった。
< 33 / 400 >

この作品をシェア

pagetop