恋することを知った恋

鈴乃さんはその笑顔であたしの声を聞くと、店員さんを呼んでコーヒーを頼んだ。

去っていく店員さんの後ろ姿を見ながら、鈴乃さんは早速あたしに言葉を投げかけてきた。



「杏里ちゃんてさ~」



逃げない。

鈴乃さんの目を見る。

胸元にはネックレス、甘い香水の香り。

しっかり見たまま、あたしは目を離さなかった。

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