恋することを知った恋

海と雫





夢を、みているのかもしれない。

「ごめん、急に」

どのくらい走っただろう。

あたしは黒瀬先輩に手を引かれるまま、ただ走り続けていた。

足を止めるとそこには、海が見えた。

夕日が沈みかけているこの海は、ゆっくりと波の音を響かせながらあたしに微笑んでいる。

こんなところから海が見えるなんて、知らなかった。

だからもしかしたらこれは本当に夢かもしれない、夢をみているのかもしれない。
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