恋することを知った恋

あたしの気持ちは何も分からず混乱しているから、少し落ち着こうとしてしばらくその波を見ていた。


「綺麗だよね」


黒瀬先輩はそれだけ言って、防波堤に腰掛ける。

あたしはオレンジ色に染まる黒瀬先輩の横顔を見つめて、ただ小さく頷いた。

さらさらとした細い黒髪が、潮風に揺らされる。

その景色と黒瀬先輩の横顔は言葉を失うくらい美しくて。

あたしもそっと防波堤に登り、腰掛けた。

行ったり来たりして、あたしを見つめる波。

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