恋することを知った恋

静かなはずの波の音が、あたしの鼓動を加速させる。

黒瀬先輩を、見る。

「うん」

黒瀬先輩は微笑んで、あたしを見つめていた。

目が潤む。


「っ…こんな簡単に恋をした自分が悔しくて悩んで、恋ってやっぱり楽しいことばっかりじゃなかったけどっ、」


顎が震えた。

やっと言える。

やっと言えるんだ。
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