恋することを知った恋

“黒瀬先輩”だったあたしの大好きな彼は、あれから数ヶ月経った今、“颯斗”としてあたしの毎日を彩っている。

恋人同士になっても先輩なことには変わりなくて、あたしは名前で、しかも呼び捨てで呼ぶことにとても抵抗があったけど。

それでも颯斗はそう呼んで欲しいと何度もあたしに頼んでくるから、あたしは徐々に呼び方を変えていった。

「ごめん、待たせちゃった?」

今日は週のはじめ、月曜日。

ぽかぽかと暖かい陽の光は、今日も変わらずあたしたちの日常を照らす。

横を走り抜けていく自転車や車が、朝の忙しい雰囲気をより一層引き立てていた。
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