恋することを知った恋

「いや、あたしが早く着いただけ」

颯斗と付き合ってからは、よく一緒に登校するようになった。

学年が違うから、校舎に入ってしまえば放課後以外はほとんど会うことがない。

だからあたしたちは、朝いちばんにここで幸せを分かち合うことが多い。

「よかった」

颯斗はそう言って、笑顔で手を繋いで歩き出した。

「ちょっといいってば、みんなに見られるよ」

あたしは照れくさくて、その手をすぐに振り払う。

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