恋することを知った恋
キャンディと世界
――どのくらい時間が経ったのだろう。
「杏里?」
あたしの顔の前で、手のひらがハラハラと動く。
麻奈美の手だった。
あたしが周りを見渡すと、生徒たちはグループになって机を囲み、お弁当を広げていた。
時計を見るとちょうど昼休みが始まった時間を示していて、確認したあたしは麻奈美に返事をする。
「あ、ごめんボーッとしてた」
「ちょっとさっきからボーッとしすぎだよ、どうした?」
麻奈美はお弁当が入った小さなトートバックをあたしの机の上に置いて、前の席にあたしの方を見て座った。