恋することを知った恋
「ピンク色でしたらありますよ、こちらです」
店員さんはその男の人をアクセサリーコーナーまで連れて行った。
あたしはその男の人の後ろ姿を見た。
ちょっと長めの黒髪。
カーキ色のシャツにカジュアルなデニムパンツ、黒いリュックを背負っている。
ちょっと、かっこいい。
不意にそんなことを思ってしまった自分が、なんだか軽い人間に思えて嫌になって、その後ろ姿から目をそらした。
「彼女さんにですか?」
「あ、はい」
笑顔で聞く店員さんに笑顔で答える男の人。