続きは、社長室で。〜相愛ゆえに〜


社長室で彼に抱かれていた頃の私は、嬉しさよりも辛さと苦しさに見舞われていたの。

——どれだけ触れ合っていても伝わらない気持ちがあったから。

大好きな人の傍にいられる、この贅沢な時間がずっと続いたら良いのにね?

夢見がちな思いに駆られるほど、愛おしいヒトと出会えた私は幸せ者だから。


幼き頃から心で育まれていた、淡い初恋は絶対に叶うものではナイとある時から諦めていた。

それでも拓海は幾つもの垣根を越えて、柵だらけの私を真っ直ぐに求めてくれたから、今がある。

近くてとても遠い関係だと思い込んできたのに、今では将来を誓った最愛の旦那さまへと変化した。

誰よりも大切な彼との時間は決して目には見えないけれど、すべてがかけがえのない宝物なの。

嫁いだ東条家はもちろん生易しい世界ではない。いつか理沙子さんのように、夫を裏から支える妻となれるようにもっと励みたい。


時には泣いたり不安になることもある。——それでも、ずっと変わらない想いがあるからどんな事でも乗り越えられるわ。


「まあ、俺は今すぐにでも蘭を抱きたいけどね?」

「……もうっ、」

甘いキスの後でもたらされたデートのお誘い。そして、最後に彼の本音に触れれば胸の高鳴りはもう止められナイ。

そんな私に微笑み、新たなメルセデスを加速させた彼への想いは日々成長していくのね……。



 【続きは、社長室で。〜相愛ゆえに〜】★終


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