your side
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高台から見えるのは、広がった海と、両側の小高い丘に立ち並ぶ家々だった。
そこには、いくつかの墓が点在しており、その中の一つの墓の前に、喪服を身にまといベールで顔を覆った少女が立っていた。少女は、茫然自失と化しており、ただ墓を見つめていた。
そして、重い口を開いた。

｢パパ、ママ。独りになっちゃったよ。あたし、これからどうやって生きて行けばいい？｣

墓に眠っているのは、少女の両親だった。

それは、突然のことだった。少女の父と母は、友人が開いたパーティーに出席し、午前0時を過ぎた頃、少女の待つマイホームへ、セダンで向かっていた。二人は談笑しながら、順調に家路を進んでいた。山道にはいり、｢みなみ、もう寝てるかしらね。｣と母が口を開いとき、対向車が猛スピードで対向車線をはみ出してきた。あっ、と思った頃には遅く、少女の両親が乗る車に、衝突した。即死だった。

ゆっくりと立ち上がり、海を眺める少女。カモメが賑やかに鳴いている。

｢みなみ。｣

優しく呼ばれ、少女はふっと後ろを振り向いた。
そこには、少女と同じく喪服を来て、ちいさな花束を持ったしなやかな女性だった。長い黒髪を束ね、微笑んでいた。
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表紙・目次

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