your side
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優しい女性の声で後ろを振り向いたみなみは、目を疑った。長い黒髪、しなやかな線の女性。紛れもない。

「亜弥ちゃん……?」

女性は更に微笑んで、

「そうよ。」

と、言った。
みなみは、満面の笑みを浮かべ、再度確認した。

「亜弥ちゃんなの!?」

亜弥は口元を開いて笑顔になり、

「そうよ!」

と返事をした。
みなみは大手を振って駆け寄り、亜弥に抱きついた。亜弥は、その華奢で小柄なみなみを、しっかりと抱きしめる。

「嘘でしょ!」

そう言ってみなみは、亜弥の顔を見上げた。

「本当に亜弥ちゃん?」

みなみは興奮する。

「そうよ、紛れもなく、亜弥よ。」
「えっなんでなんで!?」
「みなみの家の隣のキャサリンおばさんが、叔父様叔母様が亡くなったって、わざわざ電話をくれたの。みなみが独りになっちゃうから、どうしたらいいかって。」

みなみは表情を変えた。

「そうなの……キャサリンおばさんが……」
「だから、慌てて日本からとんできたのよ。」

亜弥は、そっと墓に花束を添え、海を見つめた。

「懐かしいわね、この丘。」

亜弥は感慨深げな表情を浮かべた。

「昔、よく2人で来たわよね。」
「うん……亜弥ちゃんが日本に行ってしまってからも、よく来てたの。ここから海を眺めてると、嫌なこと全部忘れられるんだよね。思い出のこの丘に、お墓をつくることができて、良かった。パパもママも喜んでるかな。」

亜弥が立ち上がった。そして、みなみの背後から、話し出した。

「ねえ、みなみ。」
「ん?」
「日本から来たのはね、あなたを、日本で受け入れようと決めたからなの。」


みなみは驚いて振り返った。

「え?」
「私の両親もいなくなってしまってね。父と母と住んでた家をちょっと改装して、シェアハウスにしたのよ。住んでるのは3人。みんな、色んな事情で両親がいないの。年は偶然にもみなみと一緒。」
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