好きだと気づく30センチ

教室で

　高校の入学式。

　ずっと憧れて、待ち望んできた日。

　だけど、思ってたより普通。

　あっという間に一日が終わる。

　…はず、だった。

「ヒナコ」

　日向子(ヒナコ)は私の名前。

　だけど、入学して一日目で、しかも中学の時の知り合いも居ないこの学校で私の名前を親しく呼ぶ人間なんて居ないのに聞こえてきた声は私に向けられていて。

　とてつもなく不愉快になりながら、一応そちらに顔を向けた。