好きだと気づく30センチ
 書いては消される黒板の文字たち。

 無意識だろうけどちょっぴり口を尖らせてるクワガタ。

 男のくせに、可愛いだなんて。

 黒板いっぱいの白い文字を追わなきゃいけないのに、私の目は隣の席を気にしてばっかり。

 …あ、まだノートに書いてないとこが消された。

 あーあ、クワガタのせいだ。

 肘をついてため息、ちらっと盗み見、前に向き直って上がる口角を手で隠す。

 ほんと幸せそうに寝るなぁ。
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