好きだと気づく30センチ
「は、はい」

「へーい」

 先生に“へーい”て。

 注目された恥ずかしさに尋常じゃないくらい顔が熱い私と違って、平然としてるクワガタを睨む、フリ。

 まだ眠たげな半目で何度も瞬きして目をこする姿に、笑うのを我慢していた。

「なんだよ、ヒヨコもねてたくせに」

 怒った顔も眠たげだから、全然怖くない。

「私はうとうとしてただけ」

 静かな教室の、黒板にチョークで文字を書く音と可愛い寝息、授業中の寝顔。
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