好きだと気づく30センチ
 顔をこっちに突き出して、何か待ってる。

 私に拭けって?

 目で訴えてくるあいつにため息ついて、仕方なく拭いてあげる。

 ちょっとドキドキしたなんて、絶対言わない。

「指ですくってペロッていうの、期待してたんだけど」

 そんな言葉に私は赤面してしまって、新野くんが可笑しそうに笑う。

「永田、あんまりヒヨコちゃんをからかってるといつか嫌われんぞ」

「えー、だって可愛いんだもん」

 もう恥ずかしすぎて、この場から逃げ出したい。

「でも嫌われんのはイヤだから、はい」
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