好きだと気づく30センチ
放課後の
「なぁ、ヒヨコ、付き合ってよ」

 終礼が終わって賑わう教室の騒々しさなんて関係なしに、あいつの台詞がはっきり耳に届く。

 でも、私は固まったままクワガタを凝視する。ドクドクと鼓動が速まっていく。なんか、苦しい。

「あれ?予定あんの、この後」

「ん?」

 二人の頭に浮かぶ、クエスチョンマーク。

 どうやら話が噛み合ってないらしい。

 それに気づいたクワガタは突然顔を赤くさせて、それを誤魔化すように笑った。

「ごめ、買い物に付き合って、て意味」

「あ、あぁ、うん」

 言葉足らなさすぎ。変な誤解をさせないでほしい。まだ鼓動が暴れてる。
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