好きだと気づく30センチ
 平日だからショッピングモールは混んでなくてほっとする。人混みは苦手だ。

「何買うの?」

「誕生日プレゼント」

 クワガタは並ぶ店先を見ながら歩く。そのどれも女の子が好みそうな可愛いお店。

 …彼女、にあげるのかな。

「明日なの忘れててさ。俺、女子の好みとかさっぱりわかんねぇから、ヒヨコの助言が聞きたくて」

「うん」

 急に風船の空気がしぼんでくような気持ちになって、隣のあいつから目をそらす。

 一人でデートみたい、なんて浮かれてバカだな私。
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