好きだと気づく30センチ
「あ、ここ入っていい?」

 クワガタの背中について入ったのは雑貨屋さん。

「なんか、ポーチていうの?が欲しいとか言ってた気がするんだよな」

 て言いながらクワガタが見ているのはペンケース。ま、確かに形は似てるのもあるけどね。

「化粧ポーチでしょ?それだったらこっちだと思う」

「へぇ…?」

 これは一人じゃ買えなかったろうな。なぜか乗り気にはなれないけど、クワガタの彼女は私の想像では可愛いくてアイドルみたいな子だから、淡いピンク色のフリルがついたポーチを手に取って見せる。

「こういうのは趣味じゃない?」

「あー、そういえばそんな服着てたよーな。いや、でもそれは前の彼氏の趣味だっただけで、今は違う…と思う」
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