好きだと気づく30センチ
「将来って、クワガタが側にいれば何も不安はないよ」

 そう言って、胸が苦しくなる。何これ、変なの。クワガタが誰と付き合ってようが私はただの友達なんだから。

「いやぁ、さすがに無理があるだろ、いくら兄妹でも」

「……ん、ちょっと待って?兄妹?誰と?」

 突然の展開に思考がストップする。もしかして、もしかしなくても…可愛くてアイドルみたいな彼女は…私の勘違い?

「誰と…って、愛梨と俺に決まってんじゃん」

 あの、その当たり前だろみたいな顔を、一発殴ってやりたいんですけど。

 …ただ、どこかで安心してる私がいて。しぼんでいた風船に空気が入っていく感覚。

 変なの、私って、こんな人だったっけ?

 放課後の、冒険と勘違いのデート。
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