好きだと気づく30センチ
「いいの?多分、てか、絶対びちょびちょになるけど」

「いいよ、洗濯して返してくれたら」

「ん、了解」

 それじゃあ、と遠慮なくタオルで頭をくしゃくしゃ雑に拭く。犬みたいだ。

「…クワガタ犬」

「おい、聞こえてんぞ、ズル賢いヒヨコめ」

「ズルなんてしてないけどね」

 チャイムが鳴ると教卓に先生が来て、まもなく授業が始まった。
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