好きだと気づく30センチ
 また、騒ぎ始める鼓動。

 私が図書室に来た時から帰るまで、クワガタはここで私を待ってたの?ずっと?

「ほら、帰ろうぜ、ヒヨコ」

 当たり前のように言った言葉が、どれほど私の鼓動を暴れさせているか、クワガタは全然分かってない。

 窓から入るオレンジ色の光り。

 私に笑顔を向ける、あいつの顔もオレンジ色。

 きっと、私の顔もオレンジ色……より、少し赤かったかもしれない。

 夕陽の中、図書室の前で……。
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