好きだと気づく30センチ
お昼休みに
 四限目の終了を知らせるチャイムが鳴り、一気に騒がしくなる教室。

 私にとってまだ慣れない教室も、他の子達はそんな様子もなく友達の輪をつくって一ヵ所に集まりだす。

 隣を見ると、いつの間にかクワガタの姿は消えていた。

 私は鞄からお弁当が入った巾着袋を取り出して、それを開ける。

 誰に言う訳じゃないけど「いただきます」と口にする。

 放送部が流す流行りの曲、女子の群れがきゃっきゃっと騒ぐ声。

 それらを聞くでもなく耳に流し入れ、黙々と食べていた。
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