好きだと気づく30センチ
 戸惑う私に構わないで、机にメロンパン、クワガタの友達の誤解。

「いや、俺が呼んでるだけ。んで、俺クワガタ」

 クワガタの友達…なんかチャラそうで、だけど女子にモテそうな男子は、眉間にしわを寄せて首を傾げていた。

「ま、いいや。お腹すいた」

 とことん自由なクワガタが自分の席の椅子を引っ張って、ごく自然に私の席に寄せたと思えば、袋の中から大量の菓子パンやら惣菜パンを机に広げて食べ始める。

 クワガタの友達も、当たり前みたいに近くの椅子を寄せて座っていた。
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