魔王と猫女
とか言いつつ、振り向いてしまうのが私。
声の主は
「ウサギ?」
であろう耳を生やした、同年代位の男だった。
「んー、まあ、そんなとこ。」
ほう。その鼠色の長い耳はウサギの耳にしか見えないが。
笑顔とゆるいしゃべり方を崩さない男は、本音が分からない様な、独特の雰囲気を放っている。
椿の苦手なタイプである。
まあいい。ウサギでないなら
「糸目。」
「あっはっは。まあ、それも間違いではないねえ。」
頭にウサギの耳を生やしたほっそーい目の男は、いかにも「昔の西洋の兵士!」な格好をしている。
「ところで君、変な服装してるね。」
椿の今の服装は、自分の学校の制服である。
「あー・・・・うん、まあ。」
椿にとって普通でしかない服装を変だと言われ、ただただ反応に困る。
いやアンタの方がおかしくねえか?と言えそうな雰囲気ではない。
服装以前に、この獣耳や場所の説明がききたいわ。
「君、美味しそうだねえ。」
「ああ、どうも。・・・・・・・は?」
咄嗟にお礼言ったけども!
「え、なんつった今?」
「美味しそうだって言ったんだよ~。」
「・・・・・。」
「・・・・・・。」