魔王と猫女


これは普通に自慢だが、私は泳ぎは得意中の得意だ。クロールでも平泳ぎでも背泳ぎでもどんと来い!である。


・・・のはずだったんだが。


水に飛び込んだ途端、思ったのが「あれ、泳ぎってどうするんだっけ」。


そして気づいた。


ネコって、泳げないんだったなー。


思いのほかと深かった湖に、椿はどんどん沈んでいく。


今度こそ死ぬのか。


闇雲に手足を動かしながら、遠ざかっていく意識の隅で、そう思った。


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