不器用少女の恋
愛由香 side
夢野愛由香、高校3年生。
私には彼氏がいる。
付き合ってもう2年になるかな。
いつもみんなに優しい彼が大好きで。
告白されたときは嬉しくて仕方なかった。
「好きだ。付き合ってください」
なんて、ありきたりな言葉だったけど、今までもらったどの言葉よりも嬉しかったんだ。
「ねー修哉ー、ここ教えてー」
そして、それから2年。
彼の近くには違う女の子。
しかも、大量の。
「いいよ」
また、いつものように笑顔で応えて女の子の教材を覗き込む。
顔、近いし。
「愛由香」
「美咲」
私の親友、美咲がボーッとその光景を見ていた私に声をかけてくれた。
「大丈夫?」
「…うん、いつものことだし!」
私は明るく言った。
そう、気にしちゃダメだ。
なにも、言っちゃダメ。
重いと思われる。
彼が優しいのはいつものこと。
私にだけ優しいような人じゃない。
誰にでも優しくできる人。
だから、なにも気にしなくていい。