不器用少女の恋
「ねぇ、」

声を出したのは愛由香の友だち。


「さすがに勝手すぎない?」


「わかってる」

それでも、


「こんなの、本当は私が言うべきじゃないけど…」

いいづらそうにしたその友だちは小さく「ごめん」と言って話し出した。


「愛由香の親、再婚したんだよ」

は?

再婚?


「あいつ、そんなこと一言も…「当たり前じゃん!」」


「あの子がどれだけ傷ついてたと思ってるの⁉︎どれだけ苦しんだと思ってるの⁉︎どれだけ悩んだと思ってるの⁉︎」

愛由香。


「あの子は何度も何度も涙を流してた!」

ごめん。


「ずっとずっと歯をくいしばってた!」

ごめん、ごめん。


「なのにあんたはそんなことも気づかず余計にあの子を苦しめた!」

どれだけ苦しんだ?

何度涙を流した?


「あの子は言わなかったんじゃない!言えなかったの!」

俺は、どれだけお前を追い詰めてたんだろう。


「1番そばにいて欲しい人に、1番そばにいて欲しい時!隣にいてくれなかった時の苦しさわかる⁉︎」

そりゃあ嫌になるよな。

嫌いにもなるよな。

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