不器用少女の恋

「私だって…私だってできるなら!あの子の力になりたかった。代わりにでもなんでもなってあげたかった…でも…それでも…私じゃ無理で。隣で見てることしかできなかった!」

顔を上げたその子の頬には幾つもの涙が伝っていた。


「あの子を1人にした…。なにも、してあげられなかった…」

俺は、愛由香だけじゃない。

この子も傷ついてた。


「あの子は、誰よりも幸せになるべき子なの。これ以上、苦しい思いも、寂しい思いも、哀しい思いもしちゃダメなの。だから…中途半端な気持ちなら、あの子に近づかないで」

その声は弱々しく、震えていて。

苦しみが嫌だというほど伝わってきた。
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