不器用少女の恋
愛由香 side
「わけ、わかんない…」
なにの話があるっていうの。
もう、全部遅いんだ。
私は、前に進まなくちゃ。
いつまでも修哉に縋り付くわけにはいかないから。
吹く風が髪をなびかせる。
揺れる影を見つめる。
流れる涙が、制服にシミを作る。
音もなく流れる涙。
ただただ嗚咽だけが聞こえる屋上。
「苦しい、な…」
握る拳に力を込めた。
「ふっ、くっ…」
ねぇ、助けてよ。
助けてよ。
もう、遅いんだよ。
引き返せなくらい好きになっちゃったんだよ。
もう、あなたしか見れないの…
ガチャ
え…?
「修哉…」
もうあなたしか見れないんだよ、修哉…。