「フィリップ・ホプキンスへの絵手紙」
第二章 「ハッピー レター バースデー ‐ A happy letter birthday ‐ 」
朝から学生がわいわい賑わう学校の玄関ホールで、ベスが気付いて元気に手を振った。名前を呼ばれる前に明日香は、ベスに勢い良く抱き着く。
「Hola、明日香! とても元気ね!」
「ベス、聞いて! お返事をもらったのよ! お返事を!」
ベスが何のお返事かと喜ばしく尋ねたら、明日香も笑顔で鞄からスマートフォンを取り出した。
「昨日ベスに教えてもらったサイトに早速絵を投稿したらね、コメントをもらったの! ……名前のアルファベットが読めないんだけど……。」
短い英語も読めないのを恥ずかしながら、明日香はサイトを開いてベスに見せた。ベスは彼女のスマートフォンを覗き込んで、気さくに丁寧に答えた。
「" Philip Hopkins " 、フィリップ・ホプキンス。" male "って書いてあるから、男の人ね! 」
「フィリップ・ホプキンス……。」
明日香は、" Philip Hopkins " という名前を改めて正式に読んで、昨夜の彼との交流を思い出した。
彼女が昨夜の彼との出会いを追想している隣で、ベスがスマートフォンを見ながら付け加えた。
「メリーネ公国在住だって! 聞いた事ある! 」
「え!? どこそこ!?」
「ベス~、明日香~、おはよう! もうすぐチャイムが鳴るよ~!」
階段の手前で賑わう学生達より頭一つ背の高い鞠華が、玄関ホールにいる親友二人へ、細いが筋力のある手を元気よく振った。背が高く細身だが、健康でスタイルの優れた鞠華は学生達の間で特に憧れの的である。ベスも元気よく手を振る。
「鞠華、おはよう! すぐ行く! 明日香、後でアカウントを教えてね! サイトの友達リクエスト送るね!」
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