出会い、別れ、再び
もし、そうだとしたら……。
緊張してしまい、唾を飲み込んでいると、本をしまい終わった女がこちらを真っすぐ見据えた。
「自分が特別な人間だとでも思ってるなら、否定してあげる。……学校の勉強を詰め込んだだけの頭なんて、価値なんてないから」
ガツン。鈍器で頭を殴られたような衝撃が俺を襲った。
大学生か、高校生か、社会人かもわからない年齢不詳女に上から言われる苛立ちと、屈辱。
けれど、何も言えなかった。というか、言える気がしない。
「勉強して……その知識を社会に貢献している人間なんて、一体どのくらいいるのかしら。英語を覚えて、喋れる人間はどのくらい?大学のネームバリューをかざして、ヒーロー気取ってる人間はきっと、それ以上ね」
女はくすっと笑って、別の本棚へ消えてしまった。
俺はその場で、ただただ立ち尽くしてしまった……。