追いかけっこが、終わるまで。

「追いかけっこね。

最初確かに、逃げられたって言ってたみたい。ホテル行って何にもしないで逃げたってことじゃないよね?」

「そうじゃなくて、その後彼が眠っちゃってから帰ったの!私そういう経験他にないからわかんないけど、一夜限りっていう流れだったと思うよ絶対。私そもそも光輝くんとそれほど話してないよ、あの日」

真っ赤になりながら小声で話す。半個室の席でよかった。

なんでこんな話になってるの、細かいこと聞かないって言ったくせに。



「あのね。光輝くん、リサが来たときからずっと、リサのことばっかり気にしてたよ。リサはむしろいつもより愛想なかったけど」

さすが美和、周りをよく観察している。私、愛想なかったかな、おとなしくしてたよね。



「もしかしてさ、あそこで初めて会ったわけじゃないんじゃないの?光輝くんが前からリサを知ってたとか、そういうことなんじゃない?心当たりない?」

私は、美和の推理力に目を見張っていた。残念ながら知っていたのは私のほうなんだけど。

長谷川先輩は、私を知らなかった、絶対。バーベキューの時に覚えてないって言われた。あれはうそじゃない。



意を決して、美和に洗いざらい話そう。美和ならきっとわかってくれる。
< 36 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop