追いかけっこが、終わるまで。
「追いかけっこね。
最初確かに、逃げられたって言ってたみたい。ホテル行って何にもしないで逃げたってことじゃないよね?」
「そうじゃなくて、その後彼が眠っちゃってから帰ったの!私そういう経験他にないからわかんないけど、一夜限りっていう流れだったと思うよ絶対。私そもそも光輝くんとそれほど話してないよ、あの日」
真っ赤になりながら小声で話す。半個室の席でよかった。
なんでこんな話になってるの、細かいこと聞かないって言ったくせに。
「あのね。光輝くん、リサが来たときからずっと、リサのことばっかり気にしてたよ。リサはむしろいつもより愛想なかったけど」
さすが美和、周りをよく観察している。私、愛想なかったかな、おとなしくしてたよね。
「もしかしてさ、あそこで初めて会ったわけじゃないんじゃないの?光輝くんが前からリサを知ってたとか、そういうことなんじゃない?心当たりない?」
私は、美和の推理力に目を見張っていた。残念ながら知っていたのは私のほうなんだけど。
長谷川先輩は、私を知らなかった、絶対。バーベキューの時に覚えてないって言われた。あれはうそじゃない。
意を決して、美和に洗いざらい話そう。美和ならきっとわかってくれる。