追いかけっこが、終わるまで。
「なんで、言ってくれなかったの?」

確かに驚いたけど。

隠すようなことじゃ、ない気がする。



「速人が、こっそり見てたこと美和ちゃんに言いたくないとかってごねやがって。

若いし仲良さそうだから同期の子だろってあたりをつけて、合コンセッティングしてって頼んでもらって。

ほんとにあの子来るのかなと思ってたら、遅れてきた。」

私を見て、笑う。

またいたずらっこみたいに。




「俺が最初にリサに気づいた。ドアの方ばっかり気にしてたから。おかしいだろ?初対面のはずなのにさ」

「私が、長谷川先輩を見つけたからじゃないの?」

「違うよ。俺がリサを見つけて、それからリサがこっちを見て、目が合ったんだ。」




本当に?



あの瞬間を思い出そうと目を凝らす。

あの時、私が彼を見つけたんじゃなくて、彼も私を見てたってこと?

だから目が合ったの?



信じられない。



待って、待って。どういうこと?

だったらあの時、誘ったのは。その時限りって意味じゃなかったの?最初から?
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