追いかけっこが、終わるまで。
ていうかさ、その日にホテルに連れ込んでたくせに、その後もなんだかんだ俺に協力させてたんだよな。

バーベキュー連れて来てとか、車貸せとか。

あと一押しなんだろうと思って、バカみたいにリサちゃんの仕事帰りにまた引き合せちゃったりした俺らはなんなんだよ。

「感謝してるよ、マジで」

とか言ってやがる。当然だけどな。



「なんで言わなかったんだよ」

「リサが美和ちゃんに言ってなさそうだから。俺が先にお前に言うわけにいかないだろ」

紳士かよ。こういう姿勢がモテるのかね。



「リサちゃんてさ、顔は一目ぼれなんだろうけど、性格的にも期待通りなわけ?」

「別に、顔に惚れたわけじゃないよ。雰囲気かな。性格は予想以上に面白い。なんか天然なんだよ」

お前が言うかよ。

「結構自己主張してくるんだけどさ、邪気がないっていうか、変な駆け引きとかなくて可愛いしな」

だからお前が言うかよ。



なんだかなあ、似た者同士か。



「俺さあ、お前ってもっとこう、気の強い子落としに行くタイプかなと思ってたんだよね。モテるしさ、普通の子じゃつまんないのかなとか」

「それ速人だろ。美和ちゃんだもんな。あんな美人で気の強そうな子惚れさせるとか、ほんとすごいよ。お前ガツガツしてないのにさ、どうやったんだかと思うね。尊敬する」

「いや、俺はさ、惚れさせたって言うか」

「リサがうっかりすると俺より美和ちゃんがいいとかいうからさ、ちゃんと捕まえといてくれ」

は?

「頼りにしてるよ、公私共々、な」

にこっと笑った。



これこれ、こういう技だよ。長谷川光輝。ほんと、公私共々かなわねえよ。
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