nine hundred Lies【暗詩】
#030 水鏡の月
渇れない涙のみずたまりで
そこに映った月のように
揺らめいては形を変えるけれど
消えてしまうことはない君を
俺は必死で守ってる
それだけが俺が俺でいる手段だと知っているから
◆
消せない思考のふきだまりで
底に溜まった泥のように
うごめいては心を汚すけれど
消えてしまうことはない傷を
俺は必死でかばってる
それだけが俺が俺である理由だと知っているから
◆
燃えない炎のいきどまりで
それに見合った塵のように
煌めいては自分を騙すけれど
消えてしまうことはない日々を
俺は必死でたぐってる
それだけが俺が俺でいる記憶だと知っているから
◆
解けない答えのわだかまりで
それを嫌った罰のように
ざわめいては時間を戻すけれど
消えてしまうことはない意味を
俺は必死で背負ってる
それだけが俺が俺である愚行だと知っているから
◆
夜空に浮かんだあの月は
俺が俺であることを
知っているのか、いないのか?
降り注ぐ光はいつだって
俺を突き刺しては惹き付けるのに
【#030 水鏡の月】