nine hundred Lies【暗詩】

#002  右手と左手



僕の右手は

何かを 誰かに伝えたくて
こうやって 文字を綴るけど



本当に伝えたい相手は

左胸の中にいるしこり





僕の左手は

何も掴めなくて すり抜けるだけ


何も上手に掴めなくて

いつも思い通りにはならない





だけど、あの時みたいに君が……





だから、あの時みたいに


僕の手を


握り返してくれればいいのに。







【#002  右手と左手】
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