太陽の声
〜♪『貴方に会えてよかった、
貴方と一緒に入れてよかった、
これからお別れだけどまたこの歌が導いてくれるよ。
さよなら、太陽の歌。』♪〜
ーーーーパチパチパチ。
目の前には一人の男がいた。
歳は私と同じくらいだろうか?
半袖と短パンで、肌はじわりと汗をかいている。
ランニング中に立ち止まってくれたんだ。
「いい歌うたうね。俺、音楽って興味ないけど、あんたの歌はなんか耳に入ったよ!」
「ありがとうっ!」
こんなに正面で感想言われるのも少し恥ずかしい。けど、とてもうれしい…。
「あんた名前は?」
「日加里よ。」
「俺は蒼太!また見にくるよ。いつもココで歌ってんの?」
「うん。暇と歌さへあれば大体ここにいよ!」
「ははっ!そっかそっか。じゃあまたココの道を走らないとな!」
「ええ、よろしく!」
「まだ歌はあるの?」
「あと五曲ほど…。」
「じゃあ、あと五曲分休憩して行くわ!」
そう言いながら、蒼太は私の前にしゃがんで胡座をかきながら歌を聞いてくれた。
こんなに長い間、男の子と喋ったのは初めてだ。
こんなに胸が高鳴るのも初めてだ……。