さいごの夢まで、よろこんで。
「……それはね、やっぱりそうなんじゃないの」
「だよねえ」
家に帰って、すぐに夏子に電話をかけた。
たまたま家にいたからって、すぐに出てくれた夏子に、とりあえずものすごく感謝。
「勘違いかなって思ったんだけど…」
「いやあ、ちょっと無理があるんじゃない?というか、こっちからしたら今までそうじゃなかったのが信じられないぐらいだけどね」
「えええ……」
電話越しの夏子の声は、いたっていつも通り。それがなおさら、自分がいつも通りじゃないことを自覚させてくるのだ。
「沙耶」
「……なに?」
携帯を持つ手が、震えてるような気がする。声は震えてないかな。
「今気付いたことが、沙耶にとって良いことなのか悪いことなのか、私にはわからない。だけど、これだけは言わせて。……絶対、後悔だけはしないで」
夏子は、きっと本気で私のこと、心配してくれてる。
ってことは多分、今私が平常心じゃないことにも、しっかり気付いてる。
「ありがとう、夏子」
電話を終えて、ふーっと長く息を吐き出した。
携帯を持ってたほうと逆の手は、気付かないうちに固くにぎっていた。
翔太のこと、好きになっちゃったかもしれない。
ううん、気付いてなかっただけで、本当はずっと、好きだったのかもしれない。
……違う。
かもしれない、って、心のどこかでセーブかけてる。
だけどもう、自分の気持ちは自分が一番
よくわかる。どれだけ誤魔化したって、すぐにボロボロと暴かれる。
翔太のこと、好きだ。