さいごの夢まで、よろこんで。

帰ろうとした赤城くんを、とっさに呼びとめた。

「あ、あのさ、赤城くんって、翔太といつからあんなに」
「……ああ、大丈夫ですよ。病気のこと、勝手に話したりしませんから。そこは安心してください」

ではこれで、と言って、赤城くんは帰っていってしまった。

そんなことを聞きたかったんじゃないのに。そう思ったけど、本当のところ、言われてたらどうしようってちょっと心配してたのも事実だから、なにも言い返せなかった。
やっぱり赤城くんには、心の中を読まれてるような気がする。

赤城くんは、私の知らない翔太を知ってるのかなって、そう思ったんだ。赤城くんといるときの翔太をなんだかうまく想像出来なくて。
そのことがちょっと寂しいなんて、わがままなんだろうな。翔太の一番は私だって、多分心のどこかで思ってる。

「ほんと、都合よすぎるよね………」

一人ぽつんと立つ玄関に、ボソッとつぶやいた声がやけに響いた。

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