さいごの夢まで、よろこんで。


翔太と過ごす、最後の週末は、今までで一番楽しい日になるようにしようって決めてた。一番笑って、一番幸せな、そんな時間を最後に作りたかった。
それでいつも通り、笑いながら「またね」って別れ際に言えたら、もう何も悔いは残らないだろう。

会えなくなるのは、多分自分が思ってるより寂しいんだろうな。
だけど会わなくなることで、この苦しさが無くなるなら、少しホッとする気持ちもあったりする。

大切なものは、あればあるほど、大事にすればするほど、それだけ大変だ。
心の中に想いを詰め込みすぎると、重たくなってしんどい。厳重に守りすぎると、いざ剥き出しになったときに傷付きやすい。
からっぽなほうが、身軽で自由だ。

翔太には今まで、散々迷惑をかけてきたと思う。わがまま言ったり、家に押しかけたり、宿題うつさせてもらったり。シャーペン借りパクしたこともあったかも。
最後の最後に、最大級の迷惑をもう一つだけ。さすがに、もう許してくれないかもしれないな。嫌われるかもしれない。

それでも私は、きっとどう思われたって、この先なにが起こっても好きだよ。

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