さいごの夢まで、よろこんで。

高校生になっても、私達の関係は変わらなかった。
授業が終われば、同じクラスでも違うクラスでも、早く終わったクラスのほうが相手の教室まで迎えに行って、一緒に帰った。
当然、まわりは面白おかしく冷やかしてくるし、ありもしない噂話をされたこともあった。
だけど私達二人の意識は、心の底から、ただの友達だった。

いつだったか、「なんで同じ高校にしたの?」って聞いたことがあった。
そしたら、「じゃあお前は何でなんだよ」って言われて、たしかに、と思った。
明確な理由なんてない。それでもあえて言うとすれば、”なんとなく”だ。

この関係は高校を卒業してからも続き、今もなお継続中。
いつのまにか、”とても大切な友達”を手に入れていたのだった。

そしてその男の子は、今隣を歩いているこの男というわけなのだが。

「沙耶、来週はどこ行く?」
「うーん…そうだなあ、翔太は?どこがいい?」
「お前が決めろよ」

何年たっても、この冷めた感じは変わらない。
不変的な翔太の態度が、昔からずっと変わらずに側にいることが、これから先も私達はこうしてここにいるんだ、って、錯覚させてくるようで。

だから私も、何一つ変わらないままで翔太の隣にいるようにしよう。その通りだよって、返事をするように。
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