さいごの夢まで、よろこんで。
いつになったら、この胸の痛みはなくなるんだろう。一緒にいるととても痛いから、離れるようにしてるのに。
まだ少し時間がかかるのかな。だとしたらどれくらい?いつまで待てば、この気持ちから解放される?
あの日から私は、一歩も外に出ることが出来ずに閉じこもってる。
良いことなのか悪いことなのか、その判断も上手く頭が働かなくて出来ない。
外の世界から逃げるように、隠れるようにして、ただ自分を守ってるだけだ。
馬鹿みたいに笑ったあの日から、顔が引きつったように笑えなくなっていた。
「あら、今週はどこにも出かけないの?」
お母さんにそう言われたのは週末のこと。
今まで毎週毎週、どこかに出かけてたから、昼過ぎになっても家にいることが久しぶりだった。
「うん。もうね、やめたんだ」
「やめたって……、どうして?あんなに楽しそうだったのに」
「や、ちょっともう、しんどくなってきてさ」
するとお母さんは、みるみる顔を強張らせて駆け寄ってきた。
まずいな、と思ったけど、もう手遅れだ。
「……嘘でしょ、沙耶、具合よくないの?病院、行ったほうがいいんじゃないの?」
「あー、違う違う、体調はいつも通りなんともないよ。ただちょっと気分がのらないってだけで」
「そんなこと言って、もし何かあったらどうするの!いつもと違うようなら一度相談したほうが……」
わかってる。
お母さんは本気で、私のことを心配してくれてる。もし何かあって手遅れになるのが一番怖いよね、わかってるよ。
だけどごめんなさい、今は本当のこと、上手く話せる自信、ない。
「大丈夫だから。おかしいなと思ったらちゃんと診察してもらいに行く。心配しないで?」
これ以上なにも聞かないでっていうように、部屋に逃げ込んだ。
……傷付けたかな、もしかして。
嫌だな、こんな自分。