さいごの夢まで、よろこんで。
違うの。
傷付けたのは私のほう。翔太はなにも悪くないんだよ。
「今までずっと、一緒にいるのが当たり前だったから。たった一週間音信不通になって会えないだけで、なんかしっくりこねえっつーか。その…、自分が自分じゃないみたいな、感じで」
うん、私も同じだよ。
翔太がいない生活は、きっといつまでたっても慣れないと思うよ。
「だけどそう思ってたのって、俺だけなのかって。……自惚れてたのか、って」
違うよ、そんなこと言わないでよ、私はいつも、いつでも、翔太に、
「……会いたいよ、俺は沙耶に。たとえ、お前がもう俺のこと、嫌いになったって言っても」
好きだよ、翔太。
これから先も、私がいなくなっても、変わらずに好きだよ。
「それだけは覚えとけ。……もう、こんな風に無理に会いに来ないから。でも連絡はする。メールもする。沙耶からの返事、待ってる。返事くれたら、また会いにくるから、絶対」
声のするほうへ、気付けば手を伸ばしていた。
だけどその手はただ空を切っただけで、なにも掴むことは出来ない。
「………じゃあな」
足音が遠ざかって、聞こえなくなっても、その場から動けなかった。
前は、なにも言わなくても、お互いが考えてることとか、言いたいことが手に取るようにわかった。それだけ一緒にいたし、理解してた。
それなのに今は、言葉にさえ出来ない。出来てもきっと通じ合えない。
視界の端にうつった携帯を手にとって、ベッドに投げつけた。
力いっぱい投げたのに、ただ虚しいだけで、やり場のない想いは結局また、身体の中に溜まっていくだけだった。
ごめんなさい。好きになんて、なりたくなかった。