さいごの夢まで、よろこんで。
その日から、翔太は私に無理に会おうとしなくなった。
言ってた通り、連絡は毎日くる。だけどその内容も、少し変わった。
前みたいに疑問をぶつけてくるような文章じゃなくて、「今日は寒かったな」とか、「今日は赤城が家に来た」とか、「風邪ひくなよ」とか。
そんな内容になってから、全部ちゃんと読むようにした。今日、翔太がどんなことをして、なにを考えてたのか、聞いた話を頭の中で想像すると、実際に隣で見てたような気分になれた。
だけどそれから数日たっても、数週間すぎても、胸に巣食った痛みは消えてはくれなかった。
それどころか、だんだんとひどくなってきてる気さえするのだ。
どうしてだろう。
原因がわかったから、そうならないようにしたのに、自分がダメになっていく。
痛みをなくそうとすればするほど、反比例するように大きくなる。
こうなってはもうどうすることも出来なかった。
だんだん、心の中だけに留まらなくなってきたのを自分でも感じ取ることが出来た。
精神的なことだけじゃなくて、肉体的にも、元気がなくなってきたことに気付いたときには、今まで履いてたズボンやスカートがゆるくなっていた。
そしてそれからさらに数週間がたった頃、ついに翔太からのメールは一通も届かなくなった。