さいごの夢まで、よろこんで。
「ちょっと、痩せたんじゃない?」
「え、そうかな」
夏子が家に遊びに来てくれた。
部屋に入るなり、いきなり核心に迫ることを言ってきたので、ギクリとした。
夏子の髪が少し伸びた。
当然だけど、それがやけに時間の流れを感じさせた。私一人、ここで閉じこもっていたって、確実に進んでいるのだ。
「うん、なんか心配。無理してるんじゃないの?」
「うーん、無理しないためにこうなったんだけどなあ」
「え、なに、どういうこと」
誰かに言いたい気持ちがあったのかもしれない。思いきって、夏子に打ち明けることにした。
翔太を好きになったら、一緒にいるのが苦しくなった。その痛みに耐えきれずに、会わないことを選んだこと。自分がいなくなるってわかってるのに、好きになんてなりたくなかったこと。離れたら辛くなくなると思ったら、そうじゃないこと……。
話しながら、自分でも馬鹿だなあと思う。
あんなにずっと一緒にいたら、そりゃあ好きになっちゃうよ。どうしたって大切な人だもん。なんでそのことにもっと早く気付けなかったんだろう。気付けてたら、好きになるぐらい近くになんて、いかなかったのに。
「……どうして諦めちゃうの?」
話を聞き終わった夏子はそう言った。
「好きなら好きでいいんじゃないの?気持ち伝えたらいいじゃない」
うっすらと涙を浮かべてるように見える。その顔を見て、夏子のこと、泣かせてばっかりだなあと思った。